範士が語る~八段合格への道標~

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「オンライン道場GEN」オリジナルコンテンツ「範士が語る」は剣道の最高位である「範士」の称号を与えられた先生方に、剣道家の大きな目標である「八段合格」についてたっぷりと語っていただいたコンテンツとなっている。

 

まだ八段は遠いと感じている剣道家、研鑽を積み、剣道に対して広い視野を持たれている範士の言葉に、たくさんの気づきをもらえるに違いない。

 


<範士とは?>

「範士」は剣道における最高位である。剣道には「段位」と「称号」があるが、これは「一般財団法人全日本剣道連盟(以下、全日本剣道連盟)」が主催の剣道剣道段位審査にて決められるものである。

 

では「段位」とは何を示すのだろうか?現在、剣道では初段から八段までの「段位」が定められている。八段の受審資格は七段受有後10年経過46歳以上と定められている。長い年月と稽古を積まなければ八段の審査を受けることがそもそもできないが、年に2回しか実施されない審査会での合格率は例年1%未満と言われ、剣道人口の中でも非常に狭き門となっている。そして剣道には、錬士、教士、範士という三つの「称号」がある。

 

 

<受審資格>

・錬士:六段受有者対象。六段受有後、別に定める年限を経過し、地方代表団体の選考を経て地方代表団体の長から推薦された者

 

・教士:錬士七段受有者対象。七段受有後、別に定める年限を経過し、地方代表団体の選考を経て地方代表団体の長から推薦された者

 

・範士:教士八段受有者対象。八段受有後、8年以上経過し、地方代表団体の選考を経て地方代表団体の長から推薦された者、又は全剣連の会長が適格と認めた者


 

最高位「範士」の満たすべき条件は「範士は、剣理に通暁、成熟し、識見卓越、かつ、人格徳操高潔なる者」と「剣道・居合道・杖道 称号・段位審査規則/同細則」に記されている。剣道人としての実績、指導者としての実績、論文や講演録の実績など、深い剣道の知識と剣道普及への貢献度が必要とされる。もちろん人格者であることや品位も求められることになる。

1.真砂 威 範士

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「剣道形の理合は竹刀剣道の理とは違うものだ!」

 

東京都荒川区東日暮里にある誠道館にて取材させて頂いた。

 

小雨の降る中、駅から歩いて来られた姿は、矍鑠として範士の修行によって重ねられた年輪を見た。

警察大学校を御退職された後、全日本剣道連盟の要職を務める傍ら、専門家から一般の指導に御活躍された。

 

印象に残ったのは、『和を以て貴しと為す』の言葉。

 

『和』には仲良しこよしという好ましい部分もありますが、ぬるま湯の和は役に立たない。利害錯綜する社会において、いかに負け犬になることなく、折り合いをつけて生き残るか。これには『強さ』という裏打ちが無ければならないという話。争いを起こさない強さを身に着ける、それが武道であるということに繋がるのだなという思いで聞いていた。

 

範士は関西出身、大真面目に、真剣に話して頂いたが、関西弁でお話し頂いたので、私自身なんの緊張も無く楽しく嬉しい時間であった。

 

帰りには駅までお送りし別れたが、私のような若僧を駅を離れるまで見送って頂く姿、背筋が伸びて胸を張り、最後の瞬間まで崩れない、範士の大事にされている立ち居振る舞いの大切さを見た。

 

<GEN編集部 H>

2.中田 琇士 範士(第一部)

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「打って勝つのではなく勝って打つという気持ちで立ち合わないと私は〇をつけない」

 

普段から審判をする方なら心得ていると思うが、有効打突の要件は「充実した気勢、適正な姿勢、打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする」である。昇段審査においても有効打突は重要であるが、特に八段合格のためには要件だけを満たせばよいということではないと中田範士は語る。

 

中田範士は「有効打突は初段から八段まで変わらない。でもその中身は変わらないといけない。六段は六段なり、七段は七段なり、の有効打突。八段については要件を満たした有効打突ではなく有効打突の要素である間合、機会、体捌、手のうちの作用、強度(強さ)と冴えを大事にした見事な有効打突でなければいけない。」と語る。また、「先に打つことだけが剣道ではない。相手を攻めて、相手が苦しくなって技を出してきたところを打突する受審者は1組4人の中で光る。」とも語る。

 

相手に攻め勝って放つ打突は、審査員の眼にもよく映る。そのためには有効打突の要件だけでなく要素も意識して稽古を積むことで八段合格を引き寄せることが出来ると理解した。

 

<GEN編集部 M> 

3.豊村 東盛 範士

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範士とは以前から製品のPV等でご協力頂き、また錬成会館にて何度か稽古に参加させて頂いて鍛えて頂いた。

 

範士の剣道は気は強く、剣は柔らかい。

必死の気攻めも、剣攻めも全く通じないうえに、無理を承知で打って出てはなやされ、さばかれ、ぽこっ、ぱくっと頂戴する。

打った技は全て応じられ、行かなければすとーんと打たれる瞬間まで鮮明に記憶に残る。

 

謎は解けた。『気と肉体の反比例』!!!!!

 

この言葉が脳裏に焼き付いている。

強い気を出し、気迫充分になるほど体はリラックスするように使う。

リラックスから本当のパワーが生まれる。

どんな競技でも一流選手で肩に力が入っている人はいない。

 

先生はいつも飄々とし、掴みどころのない人だなあと思っていた。

『一生懸命やるってのは一種の才能だ。僕にはその才能が無いんだよ。だから難しく考えずにリラックスしてやるんだよ。ははは。』

八段審査受審の経験談・・・、真似できねえじゃん。

これが多くの人を引き付ける範士の大きな魅力なんだな~。

 

<GEN編集部 H>

4.西川 清紀 範士

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昇段審査に向けて稽古を積む中で、不合格に対する不安を覚える。特に八段審査は合格率が1%未満と非常に低い。全日本剣道選手権大会で優勝した西川範士でさえ不安を持っていた。

「八段審査を受けることの出来る2年前、44歳の時に誰もいない離れ島に逃げようと思った。」と西川範士は語る。その理由は警視庁でたくさん稽古をさせてもらったのに不合格になったら警視庁に戻る場所がないのではないかという恐怖心からだ。しかし、その後「高校まではダメだったけれど、警視庁に入って20歳から今まで誰にも負けないくらい稽古をしてきた。試合も1番になれた。そういう(自信に出来る)ものを自分で見つけた。それまでは1000人に10人しか受からないのは厳しいという考え方だったが、1000人に1人の自分を目指して逃げずに向かっていった。そうすることで合格率1%の壁を超えることが出来た。」と語る。

自分の中で自信が持てることを見つけると、審査に対する不安感は軽減できるかもしれない。さらに、昇段審査までの期間で、誰にも負けないと思える努力をすれば不安は自信にかわるだろう。

<GEN編集部 M>

5.谷 勝彦 範士

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群馬県高崎市にて取材をさせて頂いた。

先生とは京都大会でお話しさせて頂く機会があり、剣道をされている時の強い攻め、鋭い技から想像出来ない柔らかく優しい方であるという印象を感じていた。

御自宅近くの某飲食店の駐車場にて待ち合わせ、範士が御稽古されている近隣道場をお借りしての取材。剣友の方の御自宅にある立派な私設道場である。

筑波大学では香田範士と同期生であり、同時に範士となられた。

 

私の勝手な印象、香田範士が強いリーダーシップでぐいぐい引っ張り、谷範士がたまにブレーキを使いつつ、後方支援していたのかな・・・てなところ。

さておき、印象に残ったお話。

 

『礼法、そこから始まり、そこに行きつく』

 

基本から習い、様々な事を乗り越え、また基本に戻る。

一番大切なのはやはり基本。

千利休も『一から習い、十を知り、十からかえるもとのその一』だったかな・・・

そう言っている。

範士の初対面の印象から感じたものは、そこに行きついた人間から醸し出される、十からかえったもとのその一だろうなと思う。

 

<GEN編集部 H>

6.田原 弘徳 範士

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「気剣体一致の状態から無意識に出し切った打突は審査員の心を打つ」

剣道を続けていると「礼に始まり礼に終わる」という言葉は何度も耳にする。入門した時には、初めに礼法から指導する道場、学校が多いだろう。それだけ剣道において礼法は大切にされている。私自身も少年少女との稽古では模範となるように丁寧な礼法を心掛けている。しかし、田原師範の語る礼法の考えを聞き反省した。
田原範士は「礼の心は、相手を慈しむ、相手の良心に対する感謝、思いやりが根本にある。」また、「相手を見ないで、『うっす、うっす』という挨拶はありえない。こういった乱れた挨拶の原因は心がないからだ。」と語る。「ぜひ、(指導者には)立派な礼法を指導していただきたいと思います。」と私たち少年少女の指導に携わる者に求めた。
私は、稽古の際には丁寧な所作を心掛けてきた。しかし、私生活から、真心のある礼法ができていなければその場しのぎの礼法を審査員は見抜いてしまうだろう。審査に合格するためではなく、剣道の理念にある「人間形成」の面でも私生活から真心のこもった礼を実践し、模範となり、正しい礼法を次代に伝えていかなくてはいけないと感じた。


<GEN編集部 M>

7.鈴木 康功 範士

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「八段を目指すなら初太刀一本、そして打つ剣道、斬る剣道を!」

私が審査会場で見学をしているとき、「あの受審者は私が審判員ならば有効打突だと判断する打突を打っていたのに、なぜ合格できなかったのだろうか?」と疑問を持ったことがある。その原因の1つには「打っていない、斬れていない」ということが挙げられるようだ。
鈴木範士は、審査において勝利主義の刺すような打ち方は評価しないという。「どうして打っているか、斬っているか、審査での打ち方に注意して見ている。たとえ、相手に受けられたりよけられたりしても、斬る打ち方をしてれば評価している」と語る。また、剣道八段研修会時の講話で、「今の剣道には<剣道>と<剣道競技>がある。ほとんどの剣道家は勝利主義の当てっこである<剣道競技>を行っているという話があった」と語る。当てっこの剣道競技ではなく、一刀両断をする、斬る剣道、打つ剣道を行うためには左手を口元まで上げる振りかぶりが必要である。実際に鈴木範士は、斬る、打つ剣道を意識して審査で実戦したことで八段審査に合格をした。
高段位の審査に合格するためには、試合で有効打突と認められる打突の稽古だけではなく、さらに質を求められる相手を<斬る>ための稽古が重要だとわかった。

<GEN編集部 M>

8.尾方 正照 範士

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「試合で負けても礼法で勝て!」

礼法の重要性について、所作は普段の稽古や講習会において指導されることがある。また、少年少女の審判をしているときには、お互いがバラバラに礼をしたり、帯刀が出来ていなかったりすると、その場で注意することもある。
尾方範士は「剣道は1人ではできない。相手がいるから打たせてもらえる。」と語る。確かに剣道では相手を実際に打突する稽古が中心である。剣道にお互いを敬う礼がなければただの竹刀での打ち合いになってしまう。だから相手に対して感謝と尊敬の気持ちを込めて礼をしなくてはならない。さらに尾方範士は「相手がいるから勝つことができる」とも語る。試合において、これから戦う相手に敬意を払う意味でも正しい所作で礼を行わなくてはならない。
相手がいるということに感謝し稽古に臨むことで心のこもった意味深い礼法を実践することができるだろう。

<GEN編集部 M>

9.忍足 功 範士

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「受審するには心身ともに健康かつ合格の信念をもって臨むべし」

日々の稽古で剣道を修練する中で絶えず課題はある。その課題を解決するために稽古の中で間合いの取り方、打突の機会の工夫をするのだが、うまくいかないことが多い。そんなときには日本剣道形の稽古を行うことで解決するのかもしれない。
忍足範士は「形は剣道の原点である。間合い、打つ部位、突く部位、そして気のつながりが大事である。」と語る。形稽古は、審査前に単なる流れを身に着けるだけでなく、相拮抗する中で、相手の動きに対してどう応じるかを理解して稽古することが大切なようだ。
剣道の原点である日本剣道形の稽古をすることで、打突に適した間合いや機会を身に着けることができる。稽古仲間と協力して限られた時間の中でも形稽古を行いたい。


<GEN編集部 M>

10.太田 忠徳 範士

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「日本剣道形は竹刀剣道の原点を表している」


稽古会は夜間に行われることが多く、長い時間を確保することが難しいため、学生と違い素振り、切り返し、打ち込み、基本打ちよりも地稽古が中心になる。地稽古が中心となると竹刀を振る本数が減ってしまい、基本が崩れてしまう。
「基本というものは初心者だけのものではない。段なりの基本がある。」と太田範士は語る。基本稽古で養われる手の内が打突の際に作用しているかを太田範士は見ている。手の内が正しく作用していなければ、どれだけいい機会に打突していても有効打突にならないが、正しく作用していれば確実に一本になると太田範士は言う。いかに基本稽古が重要かということだ。
警察官のように職場で稽古ができない社会人の場合は、基本稽古の時間を補わないといけない。家で素振りをするなどして、トレーニングでは補えない手の内の作用を鍛えることが昇段への近道になりそうだ。

<GEN編集部 M>

11.石塚 美文 範士

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「剣道で一番大切なのは姿勢。技を繰り出す最初の部分なのできれいでなければならない。」 

多くの剣道家は若い頃、試合での勝利を目指して稽古をしている。ただ、試合での有効打突がすべて審査で評価されるわけではない。その違いに悩む剣道家は少なくない。石塚範士も試合と審査の違いで悩んだ時期があったという。
石塚範士は「七段審査でつまずいたことがある。(はじめての)七段審査の時は打てばいいという考えで、審査員の心に響かなかった」。また「試合では当てていた。審査では当てるのではなく打突しなくてはいけない」と語る。打突をするためには見取り稽古が有効だと石塚範士は考えている。それは、打突の機会を学ぶことができ、練度が高まるからだという。
石塚範士でさえ試合と審査の違いに悩んでいた。その解決策である見取り稽古は誰しもができる稽古の1つである。地稽古の待ち時間などを利用して見取り稽古での気づきを大切にしたい。

<GEN編集部 M>

12.田中 早苗 範士

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「神業を出すが如く審査員の心を動かせるかが合格の要だ!」

最近の試合を見ていると、「はじめ」の号令とともに防御をしながら相手に接近し、鍔迫り合いになる場面をよく目にする。試合の組み立てを選手が考えた結果であると思うが、違和感があった。その違和感の答えは田中範士の話の中にあった。
田中範士は現役の時、初太刀を取られても2本取り返せばいいという考えだった。しかし、範士九段森島健男先生から「剣道は刀で一発斬られたら終わりなんだよ」という言葉を受けた。それから、軽はずみに打っていくのではなく、攻め方を工夫して慎重に打っていく剣道に変わったという。こういった点が審査にもつながっていると語り、審査においても初太刀を打たれると、もうダメだという。
剣道を刀での切り合いととらえた場合、防御をしていても簡単に近間に入ることはできない。初太刀までの過程に緊張感をもって立ち会うことで、高段位の品位、風格というものが生まれるといえる。

<GEN編集部 M>

13.佐藤 桂生 範士

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「しっかりした手の内と刃筋正しく、いい機会で部位を打てたら〇(マル)をつける!」

剣道の段位審査は、初段から五段までは各都道府県主催の審査、六段以上は全日本剣道連盟主催の審査となる。各都道府県によって差はあるものの、五段審査の合格率と、六段審査の合格率を比べると六段審査からの合格率は低くなる。八段審査合格を目指す剣道家にとって六段審査は一つの壁となる。
壁となる一因は、六段審査は気剣体が一致していない打突では合格できないからだと佐藤範士は指摘する。打突は竹刀が打突部位をとらえると同時に踏み込むことが理想的である。佐藤範士は竹刀が打突部位をとらえてから踏み込むことはよくあることだが、竹刀が打突部位をとらえる前に踏み込む受審者は合格に出来ないと語る。「(受審者に)よく五段審査を合格されてきたな」と言葉をにごした。
稽古を積んでいるものからすると「出来ている」と思い込んでいるだけで、実際には「出来ていない」ことが多いのかもしれない。審査での合格を目指すなら、厳しい言葉を素直に受け止め、基礎基本を見直すことが一番の近道かもしれない。

<GEN編集部 M>

14.山城 宏惟 範士

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「受かる人の剣道とはそれがひとつの芸術になったかどうかだ」

試合、審査になると多くの人は平常心ではいられない。緊張によって普段の稽古で出来ていることが出来なくなったり、動きが硬くなったりする。では、どうすれば稽古の成果が試合、審査で発揮できるのだろうか。
山城範士は「不動心、平常心という言葉を自分なりにわかるようにしたほうがいい」と語る。その方法として、試合や審査の直前になると頭の中の自分と体の中の自分でよく会話をするという。「体の中の自分はいつも一生懸命稽古をしている。審査になると頭の中の自分が現れて、ああしよう、こうしようと考えだす。そこで(心身の)バランスが崩れてしまう。」という。審査で普段通りの動きをしようと思っても、頭の中の自分、すなわち雑念が邪魔をしてくるという意味であろう。失敗している人の多くはこのバランスが崩れてしまっていると山城範士は感じている。
普段の稽古で上手の先生に掛かるときに策を練る、有効打突を打ちたいという欲深さが現れる。そういった雑念が現れたとき、普段の稽古から自分を制する工夫をすることが平常心を保つ秘訣かもしれない。

<GEN編集部 M>

15.渡並 直 範士

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「しっかりとした打突で思い切って打ち切った技が出れば私なら〇(マル)をつける」

高段位の審査時間は六段審査が1分、七段審査が1分30秒、八段審査が2分と定められている。このわずかな審査時間の中で相手に一本でも有効打突を打たれてしまうと、主導権を握られ挽回するのは困難である。そんな不安からよほどの自信がないと思いきって打ち込むには勇気がいる。
渡並範士は、「ここで打ってくれたらいいな」と思う瞬間に、技を打ってくれると評価をするという。さらに「打突が有効打突でなくても、しっかりとした打突動作で気の入った、思い切って打ち切った打突なら〇(マル)をするだろう」と語る。審査員は好機の思い切った打突を待っている。そして、そういった打突は感動を覚えさせ、審査員の心を打つことができると語る。
受審者の心理として、うまく有効打突を打ちたい、打たれたくない、という気持ちがある。しかし、うまく相手をかわして有効打突を打っただけでは、それは審査員の心を打つことはできない。有効打突にこだわり過ぎず、自身が「ここだと」という機会を学び打ち込んでいく勇気が必要である。そのためには普段の稽古で何度も失敗を繰り返し、自信をつけるしかない。

<GEN編集部 M>

16.加藤 浩二 範士

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「打たなくても、風格などで相応しいと思ったら〇(マル)をつける」

高段位審査の合格を目指して稽古を積む過程で、「試合剣道」や「競技剣道」という言葉を聞くことがある。これは試合に勝つことを重点に置き、体勢を崩して打突したり、防御の姿勢を多用するスタイルの剣道のを指す言葉だ。このスタイルも剣道修練のひとつかもしれないが、高段位審査の合格をするためには何かを変える必要がありそうだ。そのヒントが加藤範士の話の中にあった。
「八段審査を見ていると、相手の動きを見てから打っている人が多い。見てから打っていては遅く、その瞬間には捨てきって打っていないといけない」と加藤範士は語る。また、「昔の剣道は攻撃的であった。今の剣道は防御から始まるから、審査でも左手が正中線から外れ刀法から離れてしまう」と現代剣道の欠点についても指摘する。相手の打突に対して守る、よけるのではなく、技で対応するのが剣道である。
「試合剣道」や「競技剣道」から脱却するためには、常に攻撃を意識し、ただ守るのではなく、相手の打突に対して応じることを意識し稽古をしなくてはいけない。その稽古の積み重ねが高段位審査への合格を近づけるだろう。

17.林 邦夫 範士

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「剣道形が分かれば八段は受かる」

皆さんは昇段審査を受審するにあたり、どのような取り組みを行っているだろうか?筆者は師匠からの指導を忠実に守る努力をしている。また、事前に審査を見学に行き、自分が受審する際に与えられる番号の立ち合いを拝見する。筆者は比較的審査に向けて準備をしているつもりだ。
しかし、林範士の審査に向けての取り組みは、私の想像を超えて具体的なものであった。
林範士は八段審査の立ち合い位置について、「受審者と審査員の場は極めて大切。審査員の近くで技を発現すると迫力がある」と語る。また、2分間の時間配分も完璧だ。「最初の30秒で攻め合いをして技を発現する。1分で技を発現する。1分30秒で技を発現する。2分になる手前で技を発現する。技はなるべく少なく、ここという機会で捨て身の技を発現できれば良い」と時間の使い方を語った。
昇段審査を受審するにあたって、十人十色の工夫や努力を行っていると思う。稽古を一生懸命行うのは当たり前である。審査に合格するためには受審者の中で秀でる立ち合いを行わないといけない。技術以外の努力も怠らないことが合格への近道になるであろう。

 

18.濱﨑 滿 範士

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「審査員全員から〇(マル)がもらえるように平素からの修練が大切」

剣道の修練をする中で、試合で勝つことを目標に稽古をする剣道家は多い。試合に勝つためには、少なからずフェイントや防御といった技術が必要になる。しかし、目標が試合で勝つことから昇段することに変わったとき、考え方の切り替えが必要になる。
濱﨑範士は、審査に向けた自身の取り組みを語る中で、「心の切り替えが必要だ。ただがむしゃらに打っているだけではダメだ。心の剣道をしなさい。」と指導されたという。警視庁の選手として試合に勝つための稽古をしていた濱﨑範士は、相手の動きにはすぐに反応できたようだが、それは審査においては気持ちが動いたと捉えられ悪い評価につながった。改善するために濱﨑範士は無駄打ちを少なくすることを心がけていた。「初太刀一本にかける気持ちを繰り返すことで、無駄打ちが自然と少なくなってきた」と語ってくれた。

19.清水 新二 範士

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「八段審査において、足が出ているかということにこだわりを持っている」

清水範士は、不合格になる受審者の共通点を「無駄打ちが多い、打ち切りが中途半端。腹を据えた一打があればいいが、相手動きや誘いによって迷いが生まれている。」と語る。また、「面の紐がちぐはぐ。剣道着袴の色が褪せている。」こういった点は意識をすれば改善できるので、審査前には確認すべきだと語る。

清水範士が指摘する点は、一生懸命稽古に励むだけでは改善できない。迷いが生まれるいう点については、稽古のときから自身の剣道を貫く強い気持ちをもって、どんな相手であろうとも対峙する決意が必要だ。
また、着装については普段から意識し、姿見鏡で確認し、周囲の人にも客観的にみてもらうこともいいだろう。常に審査を受審している気構えと着装で稽古に取り組むことが重要だと教えてくれる。

 

20.伊藤 陽文 範士

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高段位の審査に合格するために品位、風格を高めないといけない。しかし、打突や足さばきの技術とは違い、品位、風格の高め方は難しいと筆者は考えている。同様の悩みを持った剣道家もいるのではないだろうか。そんな私たちにとって伊藤範士の考え方は、課題を解決する糸口となるのではないか。

特別訓練員を引退し、指導者の立場になった伊藤範士は、ある言葉を思い起こした。それは伊藤範士が拓殖大学剣道部の4年生で大将を務めていた時、同大学剣道部の師範であった小山朝英先生から「勝負をするのは副将までだ。大将はチーム殿様なのだ。将軍なのだ。そういう剣道をすれば勝ち負けにこだわることはないぞ。」と言われたことだった。伊藤範士は「いまだに私は、剣道は、将軍の剣道、そして殿様の剣道でなくてはいけないと考えています。」と語る。そして、将軍や殿様のような、品位、風格を持った剣道を目指し八段まで昇段した。

伊藤範士のように品位、風格を持った人物や役職をイメージすることで体現がしやすくなるかもしれない。私はまず師匠から感じ取れる品位、風格というものをイメージすることにする。

21.梯 正治 範士

 

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目標としている段位の審査に合格したら、多くの先生は達成感、満足感、安心感によりで少し休んでから計画をたてて次の段に向けて稽古をしようと思うかもしれない。しかし、梯範士はこの考え方が間違っていると語る。


「七段審査に受かって、気楽に稽古をしていると、七段の実力がなくなってしまう。だから合格した次の日から自ら求める稽古をする。そうしないと、八段審査が近くなり稽古を始めても七段の実力をつけるところから稽古をしないといけない。」と梯範士は語る。また、「七段合格後も次の日から継続して真剣に稽古をしている人は10年経てば八段の力が付いている」とも語る。
まさに継続は力なりである。八段審査合格が目標であれば七段合格は通過点と考えるくらいの気持ちが大切なのだ。梯範士は「楽しく稽古をしたことがない」とも語っている。打たせてもらえない厳しい先生方によく稽古をお願いしたという。

八段合格という狭き門を突破するためには、やはり自身に厳しくならないといけないのだ。

22.古川 和男 範士

オンライン道場GEN剣道コンテンツ。範士の経験談、審査員としての着眼点、剣道観に迫る「範士が語る」!今回は古川和男範士に語っていただきました!


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筆者が昇段審査に向け稽古をする中で「打ちすぎたらダメだ」という助言をよく頂く。
しかし、実際に昇段審査会を見学したとき「あの受審者は打ちすぎていたように見えたが、なぜ合格出来たのだろうか。」と疑問を持ったことがある。
その答えは古川範士の話の中にあった。
範士は「相手の心が動かんとするところを打てれば、その一本だけでも合格する」
と語る。これは、相手との攻防の中で相手の心の動かんとするところが審査時間内に1回でもあれば、その1回の機会に打突できれば合格する可能性はあるということだ。その機会が多ければ必然的に打突本数も多くなる。「打ちすぎたらダメだ」というのは、まだ相手の心が動いていないときに繰り出す余分な打突のことを言う。
筆者が見学した昇段審査会で合格した先生は「相手の心の動かんとするところ」を的確に打突していたのだ。
では、「相手の心の動かんとするところ」を見極めるためにはどうすればいいのか。
そこについても古川範士は語っている。
 

23.二子石 貴資 範士

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稽古をしている中で、「うわっ!打たれた!」と印象に残る打突がある。しかし、それは有効打突を打たれたからといって毎回抱く感情では無い。有効打突を打たれても、動揺する打突と動揺しない打突の違いは何だろうか。その答えのヒントは二子石範士の話の中にあった。

「審査員の心を打つとは?」という問いかけに対し、二子石範士は「審査員の心を打つということは、相手の心も打っている」と語った。二子石範士が八段に合格した審査会での実技二次審査で、会場に打突音が響くような担ぎ小手を打ったという。相手の先生は今でも、「(担ぎ小手を打たれ)頭が真っ白になった。」と話すそうだ。それは相手の心が動いたところを打った打突だ。こういった打突は相手の心を打ち、審査員の心をも打っていると語る。また、相手の心を打ち、審査員の心も打つ打突というのは竹刀と竹刀の対話、すなわち攻め合いの中から生まれ、自分勝手に打って出る打突からは生まれないとも語る。

 

 

24.田島 誠 範士

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高段位審査会の審査員は、多い時で1日に100名以上の立ち合いを審査する。それだけ多くの人数を審査する中で、どうすれば審査員の目に留まり合格することができるのだろうか。
田島範士は、「審査員と1つになることができれば合格する」と語る。審査員は、良い立ち合いについては、1人目の立ち合いも2人目の立ち合いもよく見るという。そして立ち合いを見ながら、自分ならどう立ち回るかというのを考えている。審査員の考えと受審者の立ち振る舞いが合致した時、合格する可能性が高くなるようだ。その為には、自分勝手な立ち合いをしてはいけないと田島範士は語る。

25.井上 茂明 範士

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「剣道を通じて命をどのように表現しているかを私は見ている」

自分の稽古を撮影して、良いところや悪いところをチェックしている人が増えてきていると思う。姿勢や構え方、打突の動作など、稽古の度に修正することができ、技術の向上につながる有効な手段である。しかし、それだけでは八段審査での合格は果たせないようだ。

井上範士は、審査において「剣道を通じて命をどのように表現しているかを私は見ている」と語る。剣道に対する思い入れ、どれだけ八段審査に入れ込んでいるかを見ているという。八段審査の1次審査に合格した剣道家と稽古していても「八段の面ではありません」と指摘することもあるようだ。先の気と正しく強い打突がひとつにならないと八段の面にはならない。いい構えであっても、いい気合であっても、剣先からの攻め気が感じられないといけないと語る。

審査員に技術や気迫を見てもらうだけでなく、攻め気を感じ取ってもらえないと八段審査には合格出来ない。その攻め気を正しく表現できるよう、日ごろの稽古に取り組まないといけない。

26.島野 泰山 範士

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「八段レベルになると攻めて打つだけでは駄目だ」

小学生から何度も耳にした「攻めがない。攻めて打て。」という言葉。それは大人になった今でも体得できていない。しかし、八段に合格するためには「攻め」を体得するだけではいけないようだ。
島野範士は「ほとんどの人が攻めて打てと言われる。ここ数十年の間に、攻めて打っては駄目だということに気が付いた」と語る。まず、自分が攻めている、追いつめていると思っていても相手はなにも感じていないことがある。だからうまくいかないことが多い。島野範士は、「攻めて、攻めて、打たない」ことが重要であると語る。気を充実させて、誘いをかけることで相手が反応する。その反応で相手の力量、出方をはかることができ、心に余裕ができる。心に余裕が出来れば、相手の打ちに対して応じたり、すり上げたりも出来る。相手が出てこなければ打って出る。攻めて先に打つだけでは、八段審査の立ち合いを優勢に進めることが出来ないようだ。

27.宮川 英俊 範士

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「本当にその技が打ち切ったものかどうかは音が教えてくれる」

打突の良し悪しはどこで決まるのだろうか。
宮川範士は、打突の良し悪しは「音が教えてくれる」と語る。「完全に打ったのか、当たったのか。音が違いますよね。」と話す。竹刀越しに打っているか、布団を打っているのか、鍔元を打っているのか、さらに受審者が稽古をしているのかまで、音で判断できるようだ。自分自身の打突の良し悪しを判断するには、稽古での打突音に注目することも重要だ。

28.香田 郡秀 範士

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「合格するには強いと思わせないといけない。それには剣道の理合が必要!」

試合を観戦していたり、審判をしたりしていると「この選手は巧い!」あるいは「この選手は強い!」と感じることがある。ただ、「巧い」、「強い」の定義を私にはまだ説明が出来ない。香田範士は、高段位の審査に合格するためには強くなくてはならないと語る。強いとはどういったことなのだろうか。
「審査員に強いと思われるには、剣道の理合がないといけない。理合いというのは間合いの取り方、自分の打ち間を知っているか。さらには必ず機会をとらえないといけない。そして、相手が打ってきたら体を捌くこと。一番大切なのは手の内。打突の強度。」と香田範士は語る。これらは有効打突の要素であり、日々の稽古で意識して稽古をしていかないといけない。強い人はこういったことが出来ている。
強いということは、相手をだまして打ったり、間を外したりして1本とる剣道ではなく、まさに切る剣道を体現しているかどうかだと感じた。切る剣道を目指すことで次の段位への近道となるだろう。

29.東 良美 範士

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「まずは仕掛け技、そして応じ技が決まれば〇(まる)は貰える」

剣道の各段位にはそれぞれ付与基準というものがある。八段の付与基準は「剣道の奥義に通暁、成熟し、技倆円熟なる者」とある。これを審査において表現するにはどのようにすればよいのだろうか。
東良美範士は、自身が審査員のポイントとして「まずは仕掛け技、そして応じ技が決まれば〇(まる)は貰える」と語る。仕掛け技で有効打突を取れたあと、同じような攻め口、組み立てではなく、返し技、すり上げ技など相手を使う玄妙な技が出せれば100点に近いと解説している。しかし、返し技やすり上げ技は、相手の打突を待っていては有効打突にすることはできない。それを東範士は「相手を使う」という言葉で表しているのだろうと思う。
付与基準を満たすためには、審査という緊張感のある実戦で、高度な玄妙な技を打てるようにならないといけないようだ。

30.村上 済 範士

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「八段に受かる人は はじめからその香りが漂っている」

六段以上の高段位審査に合格するには、品位、風格が欠かせない。
では、品位、風格とは具体的に何を意識すればよいのだろうか?村上範士の話の中に、その手掛かりがあった。

村上範士は品位、風格のことを「香り」と表現する。「合格する者は香りが漂ってくる」と村上範士は語る。その香り、すなわち品位、風格を感じるための根拠となる点を挙げている。蹲踞して、立ち上がって半歩出る。構えの姿勢は腰が入っているか。
左足の踵が高すぎないか。そして、呼吸法の4点が出来ていて初めて香りが漂ってくるという。また、稽古で高段位の先生に掛かることで、技を出す機会や呼吸法が身につくと語る。

品位、風格は、やはり立ち姿が大切であることが村上範士の話からも分かる。しかしそれだけでなく、呼吸法の体得が必要なのかもしれない。
 

31.岡田 一義 範士

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「審査において初太刀で一本を決めたら合格率は高くなる!」

昇段審査における初太刀の重要性について筆者自身の審査の経験からも理解しているつもりだった。初太刀が有効打突になれば主導権を握ることができ、終始優位に立ち合いを進めることが出来ることが多い。そうすれば合格に近づけるのだろうと思っていた。
しかし、岡田範士が語る初太刀には深い意味があった。
「真剣で立ち会う場合、初太刀によってその生死の勝敗を決するものであります。」と岡田範士は語る。

剣道の起源である剣術は人を殺す技術の稽古である。すなわち初太刀を打たれるということは「死」を意味する。「失敗しても次に打てばという気持ちでは剣道が軽々しい剣道になる」とも岡田範士は語る。
筆者が考えていた初太刀の重要性は審査に合格するための組み立てについてであったことを反省した。初太刀について真剣に考えるということは、剣道の質を上げることにつながる。剣道の質が上がれば自然と段位も上がるのではないだろうか。

32.石田 健一 範士

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「剣道は努力した人が必ず強くなる」

稽古はたくさんやっているが、「上達している実感がわかない」、「上達していない」と思う剣道家は少なからずいる。身体的な能力や、経験年数が影響している場合もあると思うが、稽古の取り組み方に原因があるのかもしれない。

石田範士は「努力した人は必ず強くなる」と語るが、努力とはただ稽古をすることではない。「稽古をしても強くならない」という人に対して石田範士は、稽古するだけが努力ではなく、考えたことを稽古することが努力だと説いている。質の高い稽古を、数多く行うことが強くなる秘訣である。

自分の剣道について考えることは、課題を見つけることに繋がる。しかし、自分で課題を見つけたり、設定したりすることは難しいと思う。師匠やなんでも言い合える仲間を見つけ、自分の課題を指摘してもらうことも、考えて稽古をする方法のひとつかもしれない。

33.下島 貴代一 範士

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「審査のためだけの剣道では受からない」

昇段審査合格を目指して稽古をすると、構え、打突姿勢、残心は誰しもが意識すると思う。頭の中でイメージしたり、高段位の先生の真似をしたりして、鏡や撮影した動画で確認し形作りをする。しかし、これでは合格につながらないようだ。

下島範士は「全国審査になるとみんな当たり前のように構えを作ってくるが、自分の構えになっていない。審査のための構えになっている。」と語る。審査員には、審査のために作った構えは見抜かれてしまう。それは構えが自分のものになっておらず、ぎこちなさが出てしまっているという。ぎこちない構えだと、初太刀を打てずに相手を見てしまうこともある。初太刀を打って出れ、機会を捉えていれば、たとえ外れても審査員は次に期待する。

審査間際に急に構えを変えたり、形だけを意識した稽古をしても、身についていないと審査員の心を打つことはできない。普段の稽古から時間をかけてしっかり身につけなくては、合格には近づけないようだ。

34.松田 勇人 範士

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「生死を懸けた一本をどう出せるかという修業を受審者はしないといけない」

「一本勝負」。この言葉を稽古終盤に聞くと、相手をひっかけて打ったり、体勢を崩して打ってしまったりと、どうしても勝ち負けを意識した剣道をしてしまう。しかし、このような稽古をしていては八段審査には合格しないと松田範士は語る。

松田範士は「八段審査では満点の打ちを求められる。相手の心を打ち、審査員の心を動かす打ちでないと満点の打ちではない。」、したがって「全身全霊を懸けた、生死を懸けた一本をどう出せるかというところを、常日頃から八段を望む方は修業していかないといけない」と語った。満点の打突というものを理解し、それを求めた稽古がまず重要なようだ。

また松田範士は、最近の人には「憧れの先生のような剣道がしたい」というイメージがないのではないかと推測している。憧れの先生、真似をしたい先生を見つけ、その先生から学び努力することで、少しずつ合格に近づいていくこともあるのではないだろうか。

35.大城戸 功 範士

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八段合格への道標

「無意識で出る技が一番いい技だ」
昇段審査において、初太刀は面を打つと決めている剣道家、または指導を受けている剣道家は多いと思う。さらに、立ち合いの組み立てまで意識している方もおられるだろう。しかし、大城戸範士は審査で打つ技は絞らないほうが良いと言う。

大城戸範士は自身の八段審査を振り返り、自分の得意技である飛び込み面を見てもらおうという一心で審査は立ち合っていたという。しかし、それでは相手とのやり取りがなく、うまくいくわけがないと気が付くのに1年かかったという。それを踏まえたうえで「無意識に何かが出来ると一番良い」と語る。審査において何を打つか決めてしまうと、その技につなげるような攻めしかできなくなる。そうではなく、その場に応じた技が出せるように、何を打つか決めずに真ん中を割っていく、攻め込んでいく稽古が有効だと解説する。

審査に向けた稽古をすると、気が付かないうちに視野も攻め口も狭くなっているのかもしれない。審査も相手がいて初めて成り立つ、そのことを念頭に置いて稽古をしなくてはいけない。

36.中田 琇士 範士 二部

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「品格というのは、剣道形をしっかりと正しく修練することによって身についてくる」

高段位審査を受審するにあたり、品位、風格は必ず意識するものである。しかし、剣道の技術とは異なり、具体的な稽古法が分からず苦労している剣道家が多いのではないだろうか。その答えは中田範士の話の中にある。

中田範士は指導部会で剣道形を担当し、講習会、研修会、中央講習会で指導を行っている。その立場から「剣道形を大事にしてほしい、日本の伝統文化としての根本は剣道形だ」と強調する。昔の剣道は形稽古を中心に稽古していたが、竹刀、道具が開発された江戸の中期から、打ち込み稽古が楽しくなり形稽古が疎かになった。そんな中、日本剣道形が制定されたのだが、狙いとしては「体勢の崩れ、手の内の乱れ、刃筋を無視した打突、こういうものを是正するためだったのではないか」と中田範士は解説する。剣道形を修練することで、有効打突の要件をはじめ剣道の大切なことがすべて学べるため、剣道形を修練することで品格を高めることが出来る。

審査の合格を目指して防具をつけての稽古に励んでいるが、なかなかいい評価を得られないという方は、稽古時間の前後に形稽古を行ってみてはどうだろうか。品位、風格だけでなく剣道の技術にも良い影響を及ぼすだろう。

37.谷 勝彦 範士 二部

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「審査時にまず見るのはどちらの位が上かということ」
「今回は打てたと思ったけど不合格だったよ」、このような感想を審査終了後によく耳にする。実際の立ち合いの映像を拝見しても、有効打突の数では圧倒しているように見える。なぜ、有効打突を打てていても不合格となるのだろうか。その答えは谷範士の話の中にあった。


谷範士は審査する際に「立ち上がってから初太刀までにどちらの位が高いかを見る」と語る。位について谷範士は格、品、自信、腹のくくり方、精神的な強さ、これらから醸し出される香と表現する。この中の品について「気合の出し方一つでも品がある。ヤーヤー、ギャーギャー、ワーワー気合を出すのが気合じゃなくて、一言ヤー、と発声して、黙っていたって気合は入っている」と語る。そして、次に見るのは初太刀だという。初太刀は面にこだわる必要はないが、どの技でも理にかなっていないといけないと語る。また、なぜあれだけ打てたのに不合格なんだと思う人がいると思うが、それは打突の機会に問題があると指摘した。


高段位審査になれば「品位・風格」が合格の条件となってくる。いくら有効打突を打つことが出来ても、それ以前に「品位・風格」が備わってなければ合格は出来ない。打って勝つのではなく、位で勝つ剣道を目指さないといけない。
 

38.田原 弘徳 範士 二部

 

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「日本剣道の根本はどこまで攻めて崩して捨てられるかだ!」

以前、筆者が若手の八段審査をを見学した時の感想は、七段審査を若くして突破してきた先生達なだけあり、体の移動には勢いがあり、技の冴えも惚れ惚れするというものであった。しかし、田原範士からは若手受審者に対する課題が語られた。

田原範士は「日本剣道の根本は攻めて崩して捨て身でしょ。これを身に着けてほしいですね」とした後に「若手が、ただ当てればいいという者が多すぎた」と苦言を呈した。ただ若い勢いで打っていても、理がない立ち合いを田原範士は認めないという。腰骨が立ち、背筋が伸びた立派な構えから生み出される風格と理にかなった打突がなくてはいけない。その為には攻めて崩して捨て身で打突することが大切である。

若手の受審者の中にはまだまだ試合に出場する機会のある先生が多い。特に都道府県対抗大会や国民体育大会の副将、大将という重要なポジションでの試合が多く、勝負に徹する稽古も大切な時期であるが故、切り替えが難しい。打たれてはいけない、なんとしても打たなければいけないという感情をコントロールするための精神的な稽古も、この年代の先生には重要なのかもしれない。

39.渡並 直 範士 二部

 

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「審査において修業の成果を最大限に見せるには、どういうシナリオを描くかということ」

誰しもが昇段審査では、自分の良い部分を出したい、審査員に見て欲しいと思っている。しかし、剣道は体操やフィギュアスケートと違い、自分だけの調子ではうまくいかない。なぜなら目の前にいる相手に対応しなければならないからだ。では、普段の稽古でどのように意識をすれば、自分の良いところを審査で出せるのだろうか。

渡並範士は昇段審査で力を発揮する方法を「1分半なり2分。八段(審査)の場合2分というような時間の中でどういうシナリオを描くかということ」と語っている。普段の稽古から審査を意識して、立ち上がりから気を充実させるための発声、技の発生、そして立ち合い最後までのシナリオを自分なりに作り、それを稽古の中で実戦しておかなければならない。渡並範士の話の中では、相手の状況までもイメージを膨らませてシナリオを作っていた。

審査におけるシナリオの中には自分の得意技を必ず入れると思う。その技を出すためには、それまでの仕掛けや誘いが必要になる。場合によっては、その技を出す前に別の技を出す必要もあるかもしれない。いろいろなシナリオを用意して、相手によって使い分けるのもよいかもしれない。自分の剣道を最大限見せるためには、技量だけではいけないようだ。

40.佐藤 桂生 範士 二部

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「周囲がなんと言おうと普段から竹刀は刀だという意識で動けば剣道形習得の近道だ!」

筆者は大学を卒業した頃から剣道における目標を、試合での勝利から昇段審査合格に切り替えて稽古をしてきた。構えを崩さないこと、竹刀を振ることを意識して稽古をしてきた。時には厳しいご意見も頂き悩む時期もあったが、佐藤範士の話を聞いて自分の目的意識は間違っていなかったと思うことが出来た。

「剣道は、竹刀は刀のつもりでやっていけと言われる。生意気な言い方をすれば、カチャカチャと竹刀の音と竹刀の臭いしか感じない人は、剣道感の高め方が少ない。しかし、若い時にそれを一人でやろうとすると、何をかっこつけて何しとるんやと足の引っ張り合いのようなこともある。」と語った。竹刀を刀のように扱う意識をして稽古を重ねることで、結果的に良い剣道も体現できるのかもしれない。その意識は剣道形の習得にもつながってくるだろう。

前にも書いたが、筆者は昇段審査に目標を絞って稽古を積んできた。まだその結果が出ているわけではないが、これからも意識を変えずに稽古を続けていこうと改めて心に誓った。

41.石塚 美文 範士 二部

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「調心、調身、調息の三つが整ってなければ技は繰り出せない!」

大会の開会式などで、高段位の先生による日本剣道形の演武が行われることがある。大会規模によっては、範士八段の先生方による迫力のある演武が拝見できる。マネをしようと思っても出来るものではないが、先生方の剣道形に対する考え方を理解すれば少しは近づけるかもしれない。

石塚範士は、八段となり指導的な立場となったときに剣道形について再度考えたという。そして導き出した答えは「剣道の稽古の原点」であった。「形一本にしても、礼法から刀を抜いて入っていく。構えを解いて下がり、正眼に構える。この時に乗っていないといけない。乗るためには呼吸から全てが整っていないといけない」と語った。剣道形の稽古を積むことで、竹刀剣道でも呼吸法、間合いの取り方、鎬の使い方、打突の好機が身につく。剣道形の練度が上がれば竹刀剣道の練度も上がる。このような関係性があると解説した。

剣道形の稽古をする際に、ただ形や流れを覚えるのではなく、一つ一つの動作が竹刀剣道につながるという意識を持てば、より意欲的に稽古が出来るかもしれない。剣道形の知識を深め練度を上げることで、日本剣道形だけではなく竹刀剣道も迫力のあるものになるのかもしれない。
 

42.田中 早苗 範士 二部

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「八段合格の難関を突破するには並大抵の覚悟ではいけない」

近年、剣道の八段審査合格率は1%を超えることが珍しく、日本で一番合格が難しい試験と言われている。過去には合格率2%を超えることもあった為、年々合格することが厳しくなってきているように感じてしまう。しかし、田中範士の話を聞くと決して合格基準が高くなってきているというわけではないようだ。

田中範士は「範士の先生方が口を揃えておっしゃるのは、審査が難しくなっているのではない。審査に合格する人が少なくなってきている」と語る。その原因として、田中範士は受審者に覚悟が見えないという。その言葉の根拠には、田中範士から八段審査を受審するのかという問いかけに「いや、今年はちょっとやめておきます」「ちょっと行ってきますわ」といった本気さが伝わってこない返答があるからだという。八段に合格するためには、日頃から審査に向けた稽古をする覚悟を持たないといけない。

田中範士の「覚悟」という言葉は、八段審査以下の審査にも当てはまると筆者は考える。六段、七段審査においても、「受けられるようになったから受審する」という人も少なくない。六段、七段の審査は八段審査と比較すれば合格率は高いが、大半が不合格となる。筆者も七段審査を控える身として気が引き締まる話であった。

43.二子石 貴資 範士 第2部

 

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「打ちたい、打ちたいという稽古をしていては八段は受からない!」

学生の頃は多くの剣道家が、試合で勝つことを目標に稽古に励んでいると思う。
社会人になってもやはり試合で勝ちたいという気持ちは強い。
その為、稽古でも打ちたい、打たれたくないと考える剣道家は多い。

打ちたいという気持ちを持っている限りは八段合格はないと二子石範士は語る。
二子石範士はある稽古会で大阪の先生に「打たれるのを嫌がる稽古をしていて絶対に(八段審査は)通らない。
打たれるのが当たり前という気持ちで捨てきって攻めて、どれだけ出れるかをやらないと八段は通らない」と大勢の参加者の前で叱られたことがあった。
これから八段審査を受審しようと考えている先生方には、八段の先生方との稽古では打たれて当たり前ということを頭に置いて、下がらない「気」を学んでほしいとアドバイスをくれた。

44.古川 和男 範士 第2部

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「相手を使いながら仕掛け技、応用技を両方使える人は受かる!」

高段位の審査になれば、仕掛け技だけでなく応用技、または玄妙な技が打てないと受からないという方もいる。私はこの言葉に対して、技量を審査員に見せなくてはいけないということだと思っていたが、古川範士の話を聞き誤った解釈だったと気づいた。

古川範士は、手の内がよく効いた仕掛け技が打てたら、その後も仕掛けて打ってもいいが、動揺している相手に対して攻めて、相手を引き出し、乗る、返す、抜くといった、相手をうまく使った応用技も打てる受審者を見ると合格に値すると語っている。
このような仕掛け技も応用技も打てる受審者はなかなかいないようだ。

応用技を打たないといけないと思うと、相手の打突を待ってしまいがちになる。待っても応用技は打てるし、試合では有効打突になる。しかし、審査ではただ打つだけでなく、打つ前に相手を使うということが大切だと気付かされた。
 

45.香田 郡秀 範士 第2部

オンライン道場GEN剣道コンテンツ。範士の経験談、審査員としての着眼点、剣道観に迫る「範士が語る」!今回は香田郡秀範士に語っていただきました!


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https://gen-universe.com/ja/video/1575


「左手が動くのは、もう自分が打つ時だけ」

香田範士が語る「八段審査への取組み方」での一説だ。

二部では、他にも「押さえておきたいポイント」、「剣道形の重要性」、「私はここを見ている」、「今思う剣道の素晴らしさ」について、それぞれのテーマに沿って語って頂いた。
しかし不思議なことに、一部の主題でもあった「理合」の習得のために必要な要素を、具体的に説明して頂いたような内容となっている。

審査で打ってくる相手、打ってこない相手への対処方法や合格する人、合格しない人の違いから、右足や左足の使い方まで、是非一部とあわせてご覧いただきたい。

 

46.島野 泰山 範士 第2部

オンライン道場GEN剣道コンテンツ。範士の経験談、審査員としての着眼点、剣道観に迫る「範士が語る」!今回は島野泰山範士に語っていただきました!


島野 泰山 範士 第2部 動画はこちらへ!

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「剣道形を先にしてから剣道を見ると、剣道形の重要性が見えてくる!」
日本剣道形については、多くの先生方がその重要性について語っている。しかし、形稽古の成果が竹刀剣道にすぐに反映されるかと言うと、なかなかイメージがつかみにくい。そのため、形稽古をするモチベーションが湧いてこないという方が多いではないだろうか。
島野範士は、剣道形の重要性を認識するためには、見方を変えて日本剣道形から竹刀剣道を見ることで、重要性に気が付くと語る。竹刀剣道から剣道形を見れば、これほどつまらないものはないと包み隠さず持論を展開する。日本剣道形から竹刀剣道を見ると姿勢、構え、気迫すべてが応用できると、これまであまり耳にしなかった考え方を島野範士から伺うことが出来る。
また、話の中では併せて「木刀による剣道基本技稽古法」の重要性についても語っているので是非視聴いただきたい。

47.田島 誠 範士 第2部

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「八段審査は、2分間の打ち込みを4回行える気力・体力がないと合格しない」

八段審査に合格するためには様々な要素が必要になってくることは言うまでもない。では、実際必要なそ要素とは何だろうか。
その要素の1つに「2分間の打ち込みを4回行える気力・体力がないと合格しない」と田島範士は語る。ただでさえ審査など緊張した状態では息が上がりやすく、その気力・体力がなければ技の冴えや位といったものをもって打突の機会を捉えることは難しいということだろう。つまり、その気力・体力がなければその他の要素も身に付かないということかもしれない。
2部では、それらの八段審査合格の要素習得方法を実体験から田島範士が詳しく語る。

48.尾方 正照 範士 第2部

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「八段審査を受けるなら、覚悟を決めて稽古する!」

八段審査を56歳の時に初受審された尾方範士の語る「覚悟」とは一体どういうものなのか、筆者は聞かずにはいられなかった。そして、その覚悟に込めらた意味に自身のこれからを戒められる思いだった。
尾方範士は高段位審査で不合格となって帰ってきた方から相談を受けた時、「あなたはどこに返って稽古しようと思う?」と必ず質問するという。続けて、基本に返る、初心に返るとはどこまで返れるかであり、剣道に対する姿勢、向き合い方から見直すことだという。
皆さんは何と回答していただろうか?
二部では、主に審査に合格するための稽古、心構え、覚悟について語って頂いているが、高段位審査受審者のみならず、剣道家として何か忘れているものはないか、尾方範士の語る言葉から確認して頂きたい。

49.真砂 威 範士 第2部

オンライン道場GEN剣道コンテンツ。範士の経験談、審査員としての着眼点、剣道観に迫る「範士が語る」!今回は真砂威範士に語っていただきました!

 


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https://gen-universe.com/ja/video/2203


「一触即発の間合いを和の空間にする、それが強さの証だ。」

本編では真砂範士に「剣道との出会い」、「剣道指導者の道へ」、「警察大学校での指導」、「範士になって思う剣道の魅力」、「剣道八段のあるべき姿とは?」について語って頂いた。

冒頭の「一触即発の間合いを和の空間にする」という言葉は、「範士になって思う剣道の魅力」の中で出てくる真砂範士の言葉だが、その本当の意味を筆者は未だに理解できていないだろう。真砂範士が「究極」と語るくらいであるから、筆者が本当の意味を理解できないのも当然かもしれない。
しかし剣道の名門中学・高校出身でなく剣道特別訓練員を経験し、警察大学校で教鞭をとった真砂範士の経験談と語り方には、正に「和」を感じものがあった。それと同時に真砂範士の「剣道」に対する考え方、剣道を通じた生き方、そして何よりも筆者にとっては、今までにない剣道範士八段の雰囲気を真砂範士から感じることができた。
是非、視聴ではなく体感して頂きたい。

50.田島 誠 範士 第3部


田島 誠 範士 第3部 動画はこちらへ!

https://gen-universe.com/ja/video/1770


「どれだけ人の為、社会の為になれるかが剣道の魅力である」
私たち剣道家は、何のために剣道を行っているのだろうか?健康の為、人格形成の為、昇段の為、試合で勝つ為、それぞれの理由があると思う。
田島範士は剣道の魅力を語る中で、試合の強さや大きな大会で審判をするなどではないと語りはじめた。


「学生を連れて、韓国へ行った。その時にはとても歓迎してくれた。中国の北京に行った時でも少し稽古をしただけだけど、みんな喜んでくれた。範士になったときには、北京から鹿児島まで来てくれた。」と語った。田島範士はこれらの経験から「剣道を通して世界中の多くの人とつながることが出来る。剣道を通して人が人を育てるのが剣道の文化である。」と感じたようだ。剣道をすることは自分の為だけではなく、いかに人の役に立てるかが田島範士の語る剣道の魅力だった。
私はこの田島範士の語る剣道の魅力を後身に伝えていくために少年少女への指導というものをもっと真剣に親身に行っていかないといけないと感じた。
 

51.髙橋 俊昭 範士

オンライン道場GEN|範士が語る高橋俊昭範士


髙橋 俊昭 範士 動画はこちらへ

https://gen-universe.com/ja/video/2228


「誰が来ても相手が出来る。それが八段の資格」

稽古会に行くと、多くの場合は八段の先生が元立ちをしてくださり、私たちが掛かっていく。稽古を待っているときに先生方の稽古を見学させて頂くと、長身、小柄、速い、力強い、といろいろな特徴を持った掛かり手が先生たちに見事に打たれて帰ってくる。もちろん私もその中の1人である。
髙橋範士が動画内で話してくださっている「誰が来ても相手が出来る。それが八段の資格」というのは日頃の稽古でも十分感じているが、改めて考えるとすごいことである。八段に限らず昇段審査は当日にならないと相手がわからないので、事前に対策をすることも難しい。どんな相手が来ても対応するためには、地力をつけることが重要かと思うが、それだけではなくより多くの方と稽古をする必要もあるのではないか。市町村規模、都道府県規模の稽古会だけでなく、広く集まる稽古会に参加し、より多くの剣風の方と稽古することも重要ではないかなと考えさせられた。

52.総集編~礼法Vol.1~

範士が語る総集編礼法VOL.1


総集編~礼法Vol.1~ 動画はこちらへ

https://gen-universe.com/ja/video/2252


剣道ではじめに教わることは礼法。剣道を修練する中で最も長い期間行っているのは、すり足でもなく、素振りでもなく礼法ということになる。正座の仕方、黙想の仕方、例の角度、姿勢まで細かく指導され、稽古の度に行っているにも関わらず、注意を受けることが多い。高段位の審査になれば厳しく見られ、時には内容が良くても礼法によって不合格になることもあるのかもしれない。
そんな礼法について範士が語っている内容をまとめた。
剣道最高位である範士の礼法に対する考え方、捉え方、さらには範士自身が礼法を身に付けるために行った取り組みを取り入れることで、私たちの礼法は格段に良くなるかもしれない。

 

53.総集編~礼法Vol.2~

範士が語る総集編礼法VOL.1


総集編~礼法Vol.1~ 動画はこちらへ

https://gen-universe.com/ja/video/2332


剣道ではじめに教わることは礼法。剣道を修練する中で最も長い期間行っているのは、すり足でもなく、素振りでもなく礼法ということになる。正座の仕方、黙想の仕方、例の角度、姿勢まで細かく指導され、稽古の度に行っているにも関わらず、注意を受けることが多い。高段位の審査になれば厳しく見られ、時には内容が良くても礼法によって不合格になることもあるのかもしれない。
そんな礼法について範士が語っている内容をまとめた。
剣道最高位である範士の礼法に対する考え方、捉え方、さらには範士自身が礼法を身に付けるために行った取り組みを取り入れることで、私たちの礼法は格段に良くなるかもしれない。

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