『範士が語る』鈴木 康功 範士

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『範士が語る』鈴木 康功 範士

八段合格への道標

 

「八段を目指すなら初太刀一本、そして打つ剣道、斬る剣道を!」

私が審査会場で見学をしているとき、「あの受審者は私が審判員ならば有効打突だと判断する打突を打っていたのに、なぜ合格できなかったのだろうか?」と疑問を持ったことがある。その原因の1つには「打っていない、斬れていない」ということが挙げられるようだ。
鈴木範士は、審査において勝利主義の刺すような打ち方は評価しないという。「どうして打っているか、斬っているか、審査での打ち方に注意して見ている。たとえ、相手に受けられたりよけられたりしても、斬る打ち方をしてれば評価している」と語る。また、剣道八段研修会時の講話で、「今の剣道には<剣道>と<剣道競技>がある。ほとんどの剣道家は勝利主義の当てっこである<剣道競技>を行っているという話があった」と語る。当てっこの剣道競技ではなく、一刀両断をする、斬る剣道、打つ剣道を行うためには左手を口元まで上げる振りかぶりが必要である。実際に鈴木範士は、斬る、打つ剣道を意識して審査で実戦したことで八段審査に合格をした。
高段位の審査に合格するためには、試合で有効打突と認められる打突の稽古だけではなく、さらに質を求められる相手を<斬る>ための稽古が重要だとわかった。

<GEN編集部 M>


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