『範士が語る』谷 勝彦 範士 第2部
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『範士が語る』谷 勝彦 範士 第2部
八段合格への道標
「審査時にまず見るのはどちらの位が上かということ」
「今回は打てたと思ったけど不合格だったよ」、このような感想を審査終了後によく耳にする。実際の立ち合いの映像を拝見しても、有効打突の数では圧倒しているように見える。なぜ、有効打突を打てていても不合格となるのだろうか。その答えは谷範士の話の中にあった。
谷範士は審査する際に「立ち上がってから初太刀までにどちらの位が高いかを見る」と語る。位について谷範士は格、品、自信、腹のくくり方、精神的な強さ、これらから醸し出される香と表現する。この中の品について「気合の出し方一つでも品がある。ヤーヤー、ギャーギャー、ワーワー気合を出すのが気合じゃなくて、一言ヤー、と発声して、黙っていたって気合は入っている」と語る。そして、次に見るのは初太刀だという。初太刀は面にこだわる必要はないが、どの技でも理にかなっていないといけないと語る。また、なぜあれだけ打てたのに不合格なんだと思う人がいると思うが、それは打突の機会に問題があると指摘した。
高段位審査になれば「品位・風格」が合格の条件となってくる。いくら有効打突を打つことが出来ても、それ以前に「品位・風格」が備わってなければ合格は出来ない。打って勝つのではなく、位で勝つ剣道を目指さないといけない。
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