『範士が語る』田中 早苗 範士 第2部

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『範士が語る』田中 早苗 範士 第2部

八段合格への道標

「八段合格の難関を突破するには並大抵の覚悟ではいけない」

近年、剣道の八段審査合格率は1%を超えることが珍しく、日本で一番合格が難しい試験と言われている。過去には合格率2%を超えることもあった為、年々合格することが厳しくなってきているように感じてしまう。しかし、田中範士の話を聞くと決して合格基準が高くなってきているというわけではないようだ。

田中範士は「範士の先生方が口を揃えておっしゃるのは、審査が難しくなっているのではない。審査に合格する人が少なくなってきている」と語る。その原因として、田中範士は受審者に覚悟が見えないという。その言葉の根拠には、田中範士から八段審査を受審するのかという問いかけに「いや、今年はちょっとやめておきます」「ちょっと行ってきますわ」といった本気さが伝わってこない返答があるからだという。八段に合格するためには、日頃から審査に向けた稽古をする覚悟を持たないといけない。

田中範士の「覚悟」という言葉は、八段審査以下の審査にも当てはまると筆者は考える。六段、七段審査においても、「受けられるようになったから受審する」という人も少なくない。六段、七段の審査は八段審査と比較すれば合格率は高いが、大半が不合格となる。筆者も七段審査を控える身として気が引き締まる話であった。
 

 


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