絞り込み検索

カテゴリー
サブカテゴリー
シリーズ
タグ

    なぜ黙想をするのか?

    main-image

    皆さんも稽古の前と後には静かに座り、目をつむる「黙想(もくそう)」をしていることでしょう。団体によっては「瞑想(めいそう)」「静座(せいざ)」と呼ぶところもあります。入門した際に道場の先生から意味や行い方を教わったりもしていると思いますが、黙想とは実際の稽古に劣らないくらい大事な要素です。

     

    オンライン道場GEN:老若男女問わず学べる居合道が、オンラインで!

    1.姿勢

    黙想の基本的な姿勢は正座をしてへその前で右手の甲を下にして置き、その上に左手の甲を右手の上に置きます。次に軽く目をつむった(あるいは薄目を開ける)状態で呼吸を整えます。鎌倉の大仏様がお腹の前で組んでいる手の形や姿勢をイメージするとわかりやすいでしょう。黙想はこの姿勢が基本となりますが、特に決まった形はありません。むしろ大切なのは姿勢ではなく黙想の時の精神にあります。黙想とは考えを整理したり、自分の意識を集中させて深層心理に触れ、新しい気づきを得ることです。

     

    鎌倉の大仏様がお腹の前で組んでいる手の形や姿勢

    2.黙想はイメージトレーニング

    稽古を行う際には、ただ何も意識せず漫然と行うよりも「今日はここを集中して鍛えたい!」「今日中にここまでできるようになりたい!」などといった具体的な気持ちを事前に持っておくと取り組み方や結果にも自ずと差が出てきます。このように、これから自分がどのように上達するのかをしっかりイメージするための時間が黙想というわけです。オリンピックやプロスポーツの選手は必ずといっていいほど、この"イメージする"という段取りを練習に取り入れています。近年では「イメージトレーニング」と呼ばれていますが、自分が理想とする動きを頭の中で思い描くことで、それを実現するための道筋を描くというものです。稽古前の黙想はこのイメージトレーニングに通じる物があると言えます。

     

    剣道場における黙想

    3.黙想は反省をする時間

    稽古が終わった後に黙想をするのも、乱れた心を落ち着かせて今日の稽古を振り返るためです。稽古の良し悪しの反省も大切なのですが、ここでは自分自身の行動や心構えなどを振り返る時です。なぜ平常心ではいられなかったのか、なぜ心を乱したのか等を振りかえると心の弱さが分かってきます。そして次の稽古でその時の反省をふまえ、稽古前の黙想を行うことで一歩ずつ前に進んでいくことができるのです。

     

    黙想のイメージ

    4.瞑想との違い

    「黙想」の話をする上で、よく混同されがちなのが「瞑想(めいそう)」です。この二つはどのような点が異なるのでしょうか。黙想が上述のように思考を巡らせることであるのに対し、瞑想とは考えを一つにまとめたり、無心になり精神の統一を図ることです。静かに目をつぶって座るという方法の上ではよく似ていますが、実際の所その性質はまるで正反対なのです。

    5.静座との違い

    前述のように道場によっては稽古の前後に黙想ではなく「瞑想」と号令をかけるところもあります。また「静座」と言う場合もあります。静座とは文字通り静かに座ることです。

    多くの場合は厳密にその意味を考えて使っているわけではないようですが、「静座」を使う理由として、剣道が海外も含めた広い層に広まり人種や宗教もさまざまなことから、「黙想」の仕方が仏教のやり方に習っているので、宗教色が出ないようにというものがあります。あるいは前述のような意味で、「瞑想」もまた稽古や試合においてとても重要な役割を果たすことから、あえて「瞑想」を行っているという場合もあるようです。

    6.まとめ

    ただ目をつぶり座るだけの行為のように見えますが、「今日はここまでできるようになる!」という自分へのコミットに近いものから、イメージトレーニングのように自分の理想的な動きを思い描くことなど、稽古への気持ちをまとめ形にするという貴重な時間なのです。あえて黙想と瞑想を区分けしていないことが多いかも知れませんが、役割に応じて使い分けることでより質の高い稽古ができるようになるかも知れません。

     

    オンライン道場GEN:老若男女問わず学べる居合道が、オンラインで!

    関連記事

    動画INDEX