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    世に贋作の種は尽くまじ

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    刀の偽物は古くは鎌倉時代から始まっていたと言われています。さらに室町時代になるとすでに刀剣鑑定書なるものが存在していて、茎(なかご)の銘の書体や鑢目の特徴が記載されていました。江戸時代にもなると偽物づくりが、「発展」を遂げたほどなのですが、偽物といっても様々なタイプがあります。

     

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    1.贋作とは

    まずは有名な刀工の形に似せて作り、その刀工の銘を刻んで本物のようにして売るものです。中には本物以上に出来がよかったりする場合があります。次に、金象嵌銘や朱銘を刻んだもので、金象嵌銘は、桃山時代以降に本阿弥家が刀剣鑑定を行っていたときに、長い太刀を磨り上げて茎の銘がなくなってしまったものに、鑑定銘を金色で象嵌したことがはじまりです。またもともと無銘であったもので茎が生ぶのものには象嵌銘を朱色で入れていました。これは本阿弥家だけに許されていたことなので、金象嵌銘や朱銘の刀も偽物が多い理由となっています。そして最も多いパターンが、無銘の刀もしくはあまり知られていない刀工銘の刀の銘を削除して、上から有名刀工の銘を刻む刀です。

     

    金象嵌の刀剣鑑定銘

     

     

    2.偽物を判別するには

    これらの偽物の鑑別に当たっては刀の出来具合をよく見て、時代や作風、流派などを考証していく必要がありますが、なんといっても一番いいのは博物館などで展示されている本物の刀剣をしっかりとみて研究することです。偽物だけを見ていては本物の良さはいつまでたってもわかりません。ほとんどの刀剣商や刀剣コレクターは何度となく贋作を買って後悔をし同じような間違いを起こさないようにするために研究をしているものです。本物の目を養うには本物を見て、そして偽物を見るということが必要なのですね。

     

    日本画:刀鍛冶が日本刀の作刀をしている

    3.茎をみるべし

    刀剣の部位構成としては、刀身部と茎部に大別されているのですが、刀身と茎は一体であり刀身の続きで茎があります。この茎は漢字で中心と書くこともあるくらい大事な部位を見なされています。つまり、刀身が古刀時代の優美な太刀姿にはそれに応じた茎があるべきであって、幕末時代の極太な茎がついていたらおかしいですよね。つまり刀身と茎は常につり合いがとれていないといけませんし、茎は刀身よりも鑑定をしやすいとも言えます。

     

    本物の日本刀を見ることが真贋の眼を養う

    4.何よりも本物を見る

    茎は、姿形、鑢目、錆びの状態、銘といったところが鑑定のポイントになります。特に錆に関しては巧妙な手口で人工的に薬品で色付けされたものもありますが、その時代と手触りなど自然な錆なのか人工的なものなのかを判別するにはこれも本物をしっかり見て触って覚えていくよりほかはありません。なおかつ刀剣史をしっかりと勉強をして正しい認識をもって見て考えることが必要です。「刀工大鑑」といった優良な参考文献もありますが、本物を見ること以上に勉強になることはありません。

     

    日本刀の鑑定は本物を見ることが一番

    5.鑑定書

    では「鑑定書がついているものは本物なので安心ですよね」という質問があると思います。日本美術刀剣保存協会や日本刀剣保存会のように鑑定書を出している機関もありますが、鑑定書そのものを偽造している場合もあります。もし鑑定書があったとしても、そのまま鵜呑みにせず鑑定書番号と内容などを発行元に問い合わせてから、購入を検討してもいいかもしれません。

    6.箱書きと鞘書き

    箱書きや鞘書きも本物と思ってしまう要素ではありますが、刀剣の偽物を作るよりも箱や鞘の偽物をつくるほうが手間が省けて大量に作れるということも忘れてはいけません。もちろん本物についてる箱書きや鞘書きもあるのですが、鑑定の要素にはしないほうが無難です。箱書きや鞘書きだけを誉めて本物であることを印象づけようとしている場合は気を付けたほうがいいですね。

     

    日本刀の鞘書き

    7.まとめ

    とにかく本物を見るということなしに真贋の区別をつける眼力を養うことはできません。かつて古美術商で丁稚奉公をする際には、教育の一環として、いいものしか丁稚には見せないということがあったようです。ですからいいものだけ観ていれば、悪いものはすぐわかるようになる、悪いものだけを観ているとよいものがわからなくなると昔の目利きは考えましたし、それは現代でも同じことがいえると思います。

     

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