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    日本刀の柄:良し悪しはここを見るべし

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    真剣から居合刀、鑑賞用の模造刀まで多様な製品が世に出ていますが、今回は人が刀と唯一接する部分である柄に着目してみましょう。

     

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    1.柄糸はしっかりと巻かれていること

    三種類の違う日本刀の柄巻

     

     

    正しく巻かれた柄糸は、しっかりと締まっていて簡単には動かない
    正しく巻かれた柄糸は、しっかりと締まっていて簡単には動かない

     

    巻き方が悪いと柄糸はすぐに緩んでしまい、少しの力でも動いてしてしまいます
    巻き方が悪いと柄糸はすぐに緩んでしまい、少しの力でも動いてしてしまいます

     

    柄には柄糸(組紐または革紐)が巻かれています。手で触って崩れるような物は選ばないようにしましょう。最悪の場合事故につながる恐れがあります。柄糸がしっかりと巻かれている物が本来の姿です。

    2.縁頭と糸の段差がないこと

    縁頭と柄糸との段差が極端な物は非常に不格好で見られたものではありません。使用にも影響が出ますので避けましょう。金具と柄糸に段差がある柄はしっかりと巻かれていない場合が多いです。

     

    上手な柄巻は、糸と縁金や柄頭に対して同じ高さで巻かれています。
    上手な柄巻は、糸と縁金や柄頭に対して同じ高さで巻かれています。

     

    下手な柄巻は、糸と縁金や柄頭に段差が生じています。
    下手な柄巻は、糸と縁金や柄頭に段差が生じています。

    3.表裏の向きや順番が間違っていないこと

    刀には差し表と差し裏があり、必ず差し表の一文字から始まるという決まりがあります。柳生拵などの特殊な柄でない限り、必ず差し表に一文字がきます。留めも同様で、差し表は表留、差し裏は裏留で終わるのが決まりです。留めが反対になっている柄は、柄巻の知識を十分に理解していない場合も考えられます。

     

    正しく巻かれた柄は、差し表に表留の結び目になります。
    正しく巻かれた柄は、差し表に表留の結び目になります。

    差し裏は、当然裏留の結びで締めます。表と裏では結び方が明確に違いますのでご注意ください。
    差し裏は、当然裏留の結びで締めます。表と裏では結び方が明確に違いますのでご注意ください。

    4.菱が揃っていること

    鮫革に柄糸を巻いて菱が出来ます。この菱が揃っているのもしっかりと巻かれた柄の条件の一つです。菱が崩れてしまっている物は見た目も不格好で、使用にもやはり影響します。このあたりも注意して見るようにしましょう。

    正しく巻かれた柄は、均一に菱形が並んでいます。
    正しく巻かれた柄は、柄巻全体に均一に菱形が並んでいます。

    これも菱形が均一に並んでいて一見綺麗に巻かれていますが、根本的な問題は差し表にも関わらず裏留めになっていることです。
    これも菱形が均一に並んでいて一見綺麗に巻かれていますが、根本的な問題は差し表にも関わらず裏留めになっていることです。

    これは悪い例の柄巻きです。菱形が崩れていて均一ではありません。
    これは悪い例の柄巻きです。菱形が崩れていて均一ではありません。また目釘を完全に覆ってしまっています。

    5.上糸と下糸が交互になっていない物は避ける

    柄糸は上糸と下糸を交互に巻いていくのですが、交互になっておらず、全ての上糸が同一方向になっている物は間違った柄の巻き方です。本来の姿と比較してみてください。上糸と下糸を交互に巻く理由は、敵の刀を柄で受ける等して柄糸が途中で切れた場合でも簡単に解けないようにするための先人の工夫です。全てが同一方向に巻かれている物は、途中で切れた時に簡単に解けてしまいます。

     

    正しく巻かれた柄は、柄糸が菱の交差を交互に巻いていきます。
    正しく巻かれた柄は、柄糸が菱の交差を交互に巻いていきます。

    一回の折り返しで、上下の柄糸が交互に巻かれています
    一回の折り返しで、上下の柄糸が交互に巻かれています。

    この柄巻は、菱形が乱れているだけでなく上下交互に巻かれていないので、柄糸が切れたらすぐに解けてしまいます。
    この柄巻は、菱形が乱れているだけでなく上下交互に巻かれていないので、柄糸が切れたらすぐに解けてしまいます。

    6.目貫の向きが間違っていないか

    目貫の向きや天地、表裏が間違っていないか確認しましょう。目貫の天地が逆さになっているのは論外です。逃げ目貫になっている物も古来より避けられています。目貫の種類は非常に多く、一概には言えない場合もありますが、一般的な目貫の場合、

    動物 顔(体)が縁金を向く 

    植物 根が縁金を向く

    と言うのが一般的な目貫の掟です。逆になっている物を逃げ目貫と呼び、武士はこれを嫌いました。目貫によっては当てはまらない場合もあります。

     

    これは夫婦鳥の目貫で、上が表、下が裏です。
    これは夫婦鳥の目貫で、上が表、下が裏です。

     

    This is a pair of tora menuki, The one on top is the "omote menuki" (front side menuki) and the one on the bottom is the "ura menuki" (back side menuki).
    上が表、下が裏の虎目貫です。表の虎の頭は逆向きですが、胴体の向きは表です。

     

    この目貫はナマズの頭が縁金に向くのが正解です。
    この目貫はナマズの頭が縁金に向くのが正解です。

     

    差し裏側もナマズの頭は縁金を向いています。
    差し裏側もナマズの頭は縁金を向いています。

     

    この柄巻は、竜の目貫の天地が逆になっていて、竜の背中が刀の刃側を向いている上に逆向きになっています。つまり差し裏につけるべき目貫が、差し表につけられています。
    この柄巻は、竜の目貫の天地が逆になっていて、竜の背中が刀の刃側を向いている上に逆向きになっています。つまり差し裏につけるべき目貫が、差し表につけられています。

     

    この竜の天地は正しく装着されていますが、この目貫は元来差し表用です。
    この竜の天地は正しく装着されていますが、この目貫は元来差し表用です。

    7.まとめ

    柄は刀の表情を決定付けます。いい加減な柄は使用者の品格を下げ、実用面で上達の妨げになります。上記の項目を理解すれば良い柄の見分け方が理解できるはずです。刀を購入する時などの参考にしてみて下さい。

    また、どんなにしっかりと巻かれた柄でも、使用方法が悪いと駄目になってしまいます。力任せに握るのではなく、正しい手の内で使うようにしましょう。その方が柄も長持ちします。正しく使ってそれでも柄糸が擦りきれたり、ゆるんだ時は無理せず巻き直しに出す習慣をつけましょう。使用者は安全にも気を付ける必要があります。

    今回のレポートがあなたの役に立つことを願っています。

     

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