剣道最高段位八段の真剣勝負!寛仁親王杯剣道八段選抜大会
2020/12/23
寛仁親王杯剣道八段選抜大会とは、東京都剣道連盟選考委員会において選出された関東所属60歳以下の八段受有者が寛仁親王杯を目指し競い合う大会だ。剣道界の頂点を決める全日本剣道選手権大会とは異なり円熟した八段剣士による高度な駆け引きが見どころ。今回は「GEN」アーカイブから第四回大会、第五回大会の準決勝、決勝を取り上げる。
■気になる組み合わせ!
・第四回大会
準決勝第一試合:赤 遠藤 正明 (警視庁) VS 白 豊村 東盛 (太田区)
準決勝第二試合:赤 淺野 修 (警視庁) VS白 倉澤 正 (台東区)
決勝:赤 遠藤 正明 (警視庁) VS 白 淺野 修 (警視庁)
・第五回大会
準決勝第一試合:赤 佐藤 勝信 (警視庁) VS 白 遠藤 正明 (警視庁)
準決勝第二試合:赤 濱﨑 滿 (警視庁) VS 白 千葉 胤道 (学連剣)
決勝:赤 佐藤 勝信 (警視庁) VS 白 千葉 胤道 (学連剣)
1.第四回大会
・準決勝第一試合:赤 遠藤 正明 (警視庁) VS 白 豊村 東盛 (太田区)
大柄な警視庁遠藤先生と、小柄な大田区豊村先生の一戦。
開始後、やや遠間での攻防が続く。剣先を表、裏と細かくやわらかに動かし相手を観察する豊村先生に対し、どっしりと静かなに待ち構え、機会と見るや思い切った打突を見せる遠藤先生との攻め合いから目を離せない。延長に入りお互いの竹刀の動きが激しくなると、豊村先生が担ぎ気味に面を打って行くところを、遠藤先生が小手を抑え勝負ありとなった。
・準決勝第二試合:赤 淺野 修 (警視庁) VS白 倉澤 正 (台東区)
じりじりと細かな足の動きで間合いを詰める両者。機会と見るや思い切った面を打ち込む淺野先生の打突に反応し胴に返す倉澤先生。両者とも有効打突には不十分だったが今後の展開が楽しみとなった初太刀だった。両者、有効打突のないまま延長戦に突入する。倉澤先生の打ち終わりを徐々に淺野先生がとらえだす。倉澤先生はタイミングを外した小手や、片手突きなど多彩な技を見せる。最後は倉澤先生が竹刀を回しながら攻め入るところを淺野先生が面をとらえた。
・決勝:赤 遠藤 正明 (警視庁) VS 白 淺野 修 (警視庁)
決勝戦は警視庁同士の戦いとなった。ともに大柄な先生同士の一戦は非常に迫力のある戦いとなった。積極的に前に出る遠藤先生と相手の出頭を狙っているように見える浅野先生の駆け引きは必見。
2.第五回大会
・準決勝第一試合:赤 佐藤 勝信 (警視庁) VS 白 遠藤 正明 (警視庁)
2年連続の決勝進出をかけた遠藤先生と年齢を感じさせない切れのある足さばきを見せる佐藤先生の一戦。攻め合いの中、一瞬間合いを嫌い下がったかに見えた佐藤先生が、グッと攻め返したところに遠藤先生が面を打ち込む。そこを佐藤先生が鮮やかに返し、胴が決まった。その後は果敢に遠藤先生が攻め込むも、佐藤先生の見事な足さばきでとらえきることが出来ず試合終了の合図が鳴った。
・準決勝第二試合:赤 濱﨑 滿 (警視庁) VS 白 千葉 胤道 (学連剣)
警視庁濱﨑先生と、ベスト4の中で唯一の教員である千葉先生の一戦。触刃(しょくじん)の間合いからお互いの気合がぶつかり合う。終始、千葉先生は竹刀を表、裏と絶えず動かしながら間合いを詰めていく。試合中盤にやや近間から千葉先生がすっと剣先を開いたところに濱﨑先生が面を打ち込む。これを待っていたかのように千葉先生が小手を抑え一本となった。何とか取り返したい濱﨑先生が豪快な面を打ち込むも不十分。その後も攻め手を緩めない濱﨑先生が小手を打ち込むも、有効打突にはならず、その打ち終わりを千葉先生が逃さず面を打ち込み勝負ありとなった。
・決勝:赤 佐藤 勝信 (警視庁) VS 白 千葉 胤道 (学連剣)
決勝戦は華麗な足さばきで攻め込む佐藤先生と、打突の好機を逃さない千葉先生の一戦。
勝負を決める一本を見たときに試合は技術、精神力だけでなく組み立ても重要だということを気づかされた一本であった。